その国の法規制や商慣行、安全基準に踏み込んでまで自由貿易の障壁を無くそうと言う試みがアメリカを中心に環太平洋地域でなされました。言わずとしれた、TPPの事です。
TPP自体はアメリカのトランプ政権が否定的な態度を取った事でご破算となりましたが、実質的な二国間TPPである「日米FTA」には、トランプ政権も前向きと言われています。
仮にこのような「二国間TPP」とも言うべき日米FTAが発効すると、MLMを取り巻く環境も大きく変わると予想されます。何がどう変わるか、我々はどのように対応すればよいのか、予想してみました。
<TPPの考え方>例えば農薬Aの残留基準が、日本は10ppm以下、アメリカは100ppm以下だったとします。TPP発効後、日本の農薬残留基準が自由貿易の障壁になっているとアメリカが訴えたとします。訴えが認められると、日本は農薬Aの残留基準を10ppmから100ppmに引き上げなければなりません。これが、法規制や商慣行、安全基準に踏み込んだ自由貿易の促進を目指すTPPの基本的な考え方です。日米の二国間協定でもこの考え方が適用されると言われています。
<海外では既に>アメリカと二国間FTAを結んだ他の国では、既に同様の制度改定が行われています。例えばオーストラリアでは、収入の低い人にも医薬品が行き渡るよう薬価を押さえる独自の制度がありましたが、FTA締結後、アメリカの製薬会社の利益を損ね自由貿易を妨げるとしてこの制度は廃止されました。
<種子法廃止>日本でも、食糧確保するために必要な種子を生産する目的で種子法がありましたが、これが2018年4月1日に廃止される事が決定しました。国による種子管理が自由貿易の障壁になると、まだ日米FTAの具体的な内容も本当に締結されるのかさえ未定の段階で、このような決定が下されたのです。種子法が廃止されるとそれまで国が管理していた種子を民間企業が管理する事になり、食糧セキュリティにも影響を及ぼす可能性があります。一方でアメリカ企業による遺伝子組み換え種子の日本への持ち込み、生産は大幅にやりやすくなります。食糧安全保障の役割を放棄してまで自由貿易を推進したい勢力が日本にいると言う事です。それくらい日本はTPP型の自由貿易社会を目指しているのです。
<MLMはどう変わる>それでは、ここから本題です。このような法制度の変革を伴う自由貿易推進、日米FTAが実際に発効した場合、MLMにはどのような影響が出ると予想されるでしょう。
日本のMLMを取り巻く現状と、予想される変化をまとめてみました。
<クーリングオフできる期間>一般的な契約では、クーリングオフできる期間は法定の書面が交付された日を1日目として8日間ですが、MLMの場合は20日間です。さらに通常の契約には無い、期間を過ぎてしまった場合にも一定の条件を満たせばクーリングオフや脱会できる制度があります。特に契約時に事実と異なる事を言われたり実態として契約を断る選択肢がない状況だった場合はいつでもクーリングオフできます。
事実と異なる内容や契約の可否を決める選択肢が無い状態での契約が無効なのは世界共通なので、この点は日米FTAが発効しても変わりません。しかしクーリングオフできる期間が20日間と言うのが長すぎると指摘された場合、他の契約と同じ8日、もしくはアメリカのクーリングオフ期間である14日に短縮される可能性はあります。
<コーヒーのお誘いからMLMの話に入っても合法に?>現在の日本の法律では、MLMの勧誘をする時は、あらかじめその旨を伝えなければならない決まりになっています。つまり、コーヒーに誘っておいて途中でMLMの話を切り出すのは厳密には違法と言うわけです。
ただし、
・契約より前にMLMである旨や報酬の仕組み等必要な事項が告知され、
・「絶対に儲かる」のような事実と異なる説明がなく、
・なおかつ実態として契約するしないの選択の自由が与えられていれば、黙認される傾向にはあります。
と言うのも、バカ正直に法律を守ったら誰もMLMの話を聞いてくれないため、MLM自体は合法としている手前、行政もあまり強く踏み込めないのです。後から問題が起きなければいい、と言う考えが実態としてあります。
日米FTA発効後、これがMLM組織の拡大の障壁になり、商品やサービス流通の足かせになる、とアメリカのMLM企業が判断したら、勧誘方法、規制も大幅に緩和される事になります。
上述の青字の条件(つまり、
必要事実の告知、虚偽の話をしない、勧誘する相手に任意性、選択の自由が担保されている)さえ満たせば、コーヒーのお誘いからMLMの話をしようがセミナーに連れて行ってついでに勧誘の話をしようが、厳密には違法とか黙認、グレーゾーンとか言うレベルではなく明確に合法な勧誘方法になる可能性もあります。
しかもこれは、アメリカ法人だけでなく日本で既にMLMに参加しているディストリビューターが起点となって勧誘の規制緩和を求める可能性もあり、日米FTAが発効すればかなり高い確率で現在は違法、グレーゾーンとされている勧誘方法の合法化が起きると予想します。
<「必ず稼げる」はNG。でも「稼げる」はOKに?>現在MLMに勧誘する時、「必ず稼げる」「稼げる」と言う言葉を使ってはいけない事になっています。
しかしこれは、名指しこそしないもののアムウェイを念頭に法律を制定した事と関係があります。
前回の記事 で触れたように、アムウェイは既に稼げるMLMではなくなっています。本来アムウェイのみに当てはまる話をMLM勧誘の一般的なルールとして定めたためにこのような事が起きているのです。
海外には、今入れば稼ぎやすいMLMが多数存在します。しかしこれを「稼げる」と言って勧誘してはいけないのです。現在は。
日米FTAが発効し、「稼げる」と言えない法制度がMLM拡大の障壁になっていると見なされたら、「稼げる」と言う言葉は勧誘時に使ってもいい言葉になります。ただし、ビジネスに「必ず稼げる」はありませんから、「必ず稼げる」と言って勧誘するのは現在も将来もNGです。
<MLMは明確に合法、との意識付けが目的>日米FTAが発効すればMLMを取り巻く環境も大きく変わると予想されます。実際にここに書いた通りの変化が起きるとは限りません。
しかし一点だけはっきりしている事があります。それは、日米FTAがMLMに影響を与えるとすれば、
アメリカのMLM企業は、日本人に、MLMは明確に合法なシステムである、と言う意識付けを要求してくる、日本人がMLMはいい事なんだ、と思えるような法改正を求めてくる点です。そして、その
目的を達成するためには、消費者保護を後退させる事も厭いません。
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<MLMビジネスには追い風、でも>結論として、
日米FTAが発効すればMLMビジネスには強い追い風となる事が予想されます。
一方で、MLMに対する正しい知識がない人はカモにされ、救済もままならなくなる事も考えられます。
だからこそ、
前回の記事 にあるような、MLMの本質を正しく理解し、自分が勧誘されたMLMが現在どのステージにあるのか、見極める力が必要になってくるのです。
MLMが明確に合法、と意識づけられるような法改正がなされたら、世の中MLM勧誘話のオンパレードになる事は目に見えていますから。そして種子法廃止など水面下で日米FTA後を見越した動きがある事から、MLMを取り巻く法改正も近い将来現実になる可能性が高いと予想できるので。
<日米FTA後を見越して今からMLMに入るのがベター>それだったら日米FTA発効を待って本格的にMLMに参入しよう、と思われた方もおられるかもしれません。しかし日米FTA発効後、本格的な法改正が行われた後から始めたのでは、一斉にMLM参入者が増えるため、リクルートするのが困難になってきます。しかもMLMは合法と言う部分だけを切り取って、新法でも違法な勧誘やグループ運営をするアップが今以上に増える事も懸念されます。
それよりも、
今の時点で先を見越してMLMに入った方がベターです。特に
インターネットを使った最近のMLMの場合、ネットは受け手の選択の自由度が高い事もあり、スパムメッセージの送信やLINE通話さえ使わなければ
現在の法律でも幅広い勧誘活動が合法的に行えます。
(MLM企業のネックは、MLMに対する誤解と偏見であり、日米FTA発効後に予想される法改正は、MLMへの悪い誤解と偏見の払拭が最大の目的です)
勿論、MLMの規模と成長性が、最も収益性が高いタイミングであるものに参加しないといけない事は言うまでもありません。既に飽和したMLMでは日米FTAが発効してもMLM側の事情で稼げません。
また、MLMはアップを選ぶ事が大事です。
MLMに参加して天国か地獄かはアップによって決まると言って過言ではありません。商品やサービスの内容を度外視し、専ら稼ぐ事を目的としてMLMに参加するのであれば、アップがすべてと言っていいでしょう。

この点を踏まえると、
・市場規模が大きくこれから本格的な成長が見込めるMLMである
・アップとダウンと言う二者のクローズな関係でなく、グループ全体でLINEでノウハウが共有される
・セミナー参加やリクルート人数、アップとの連絡についてもノルマが無い(ただしビジネスオーナーとして最低限のルールは守って下さいね)
以上3条件を揃えた「旅するカフカ」グループが今からMLMに参加する人に最もお勧めです。
なおグループやアップとの関係については、上記バナー、79ers(セブンティナイナーズ)が https://deofficer79ers.jp/ ドメイン内の記事に設置したリンク、もしくは79ers(セブンティナイナーズ)がSNS上に設置した窓口以外から登録した場合は保証できませんのでご注意下さい。
※本記事は日米FTAが発効した場合の予想記事です。日米FTA発効自体2017年9月22日時点で確定したものでなく、仮に発効しても全てこの記事通りになるとは限りませんのでご了承下さい。
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